月毎よむよむ

月毎の、お話と絵本

4月 花たより

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「花たより」 文・表紙 Aruzak-Nezon
 

  世の中には、言葉無くしてわかり合う人たちがいる。老夫婦や、賢い母親とその子ども、幼馴染み、師匠と弟子、共有するものが多いほど言葉は省略される。
 若い二人は、互いに翻訳を経なければ会話できないにもかかわらず、出会った日にもう、「明日も会おう」と約束した、、、
互いへの興味とリスペクト。ありあまる直感を交換するのに、たくさんの時間や説明は要らなかったのだ。それは奇跡に近い出来事だった。
 何を手渡されても、一度はそれを受け取り、そこにその人を読み解くヒントがあると信じて、大切に手の中で眺める。また一旦どこかに置かれたとしても、もうそれは、自分にとって親しいものであり、相手を象徴する小さなエレメントになる。
 例えば、一輪の花であれ、手渡すという行為によって、受け取るという行為が確定されたとき、信頼が、見えない繋がりが生まれる。その上に、翻訳されて単純化されてしまった言葉が載ったとしても、二人にしかわからない深い意味が添えられるのだ。
 行動で示す二人は時々、互いの目の奥を見つめ合っている。あいかわらず、まどろっこしい説明と翻訳は必要ないらしい。

 

 

「花たより」
 詩 Aruzak-Nezon

そんな大きな約束なんて
しなくていんだよ
僕にはできっこないから
君だってできなくていんだ

それよりももっと
君が好きな野の花をひとつずつ集めるのを
僕が受けとってひとつずつ束ねてゆくさ
それが二人にとって大切なことになれば
素敵だと思う

今年の春は何かが噛み合わなくて
少し不安定
2人で見るはずだった桜も
明後日には咲きそうだよ

でも
急がなくていんだよ
これもひとつ想い合う花物語
僕の中に君はしっかりいてくれる
君の心には泣きべそ顔の僕がいるでしょ

走っても歩いても転んでも
次に会うときは決まってて
君は怒ったように笑って
僕は泣きそうに笑って
また手をつないで
同じ花を見つける

 

 

 
 この詩は後に、おなかグーグースによって愛らしい楽曲となり、先の2人の結婚のお祝いとして捧げられた。

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イラスト:Aruzak-Nezon

 

 

【「フラワーレイン」の動画はこちら】↓↓

フラワーレイン / おなかグーグース - YouTube

 


「フラワーレイン」

作詞: aruzak-nezon + 氷見野ハオ
作曲/編曲/演奏/うた: 氷見野ハオ


君が好きな花をひとつ
ひとつずつ集めていくのを
僕は受け取ってゆっくりと
ひとつに束ねるのさ

一緒に見るはずだった桜も
明後日には咲きそうだよ
二人にとって大切なことになれば素敵さ

会える日は決まっている
君は怒ったように笑っている
僕は泣きそうに笑って同じ花を見つける

君が好きな花をひとつ
ひとつずつ集めていくのを
僕は受け取ってゆっくりと
ひとつに束ねるのさ

 

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