「tiny lips〜雛鳥の囀り〜」
文・表紙/Aruzak-Nezon
嘴の歌
ひとり遊びをしているとき、いつの間にか口から歌が出ていることがある。
手や目や頭が動いていて、口も動いてしまうのか、耳から入ってくる自分の声といい加減なメロディは、意外にも気分よくさせるものだった。
歌詞もでたらめだし、後から思い出せないくらいどんどん変わっていくというのに、何か腑に落ちるというか、お気に入りになってしまった。
そしてまたしばらく忘れて新しくなったり、繰り返しのところはリズムに乗って数が増えたり、決まりごとのない歌をずいぶん自分に聴かせてきた。
本来なら、楽譜には成りようのない小さな歌を、それでもなんとか残して再現できるようにしたいなあと、ここ数年、氷見野ハオの耳元でしつこく鼻歌っていた。
鼻歌、って自然な生まれ方をするから好きだ。誰でも、心で感じた瞬間に歌にできる。音楽の勉強をしていないからこその掟破りもフツーにできるし、妙な伸ばすところもアリなのだ。そして音程はズレ続ける、面白くてやめられない。
ある日、氷見野ハオが、できたよ、と聴かせてくれるのはちゃんと曲になっていて、それでもあの、手でゴチャッと作ったような味わいは残っていて、私はとても嬉しいだろう。曲はちゃんと整えた上で、生き生きとした感じは丸ごと生かしてくれるだろう。
しゃがんだ子どもの目線に近い、自分のために歌うような小さな歌が、昔は子どもだった人たちとも共有してもらえるように、小さく微かに届きますように。
「マレーのバク」
詞 Aruzak-Nezon
僕は夢なんて食べない
お腹いっばいマレーバク
誰かの夢なんて食べない
美味しいもの食べたもん
届く夢なんて食べない
お腹いっぱいマレーバク
叶う夢なんて食べない
デサートはさてどこかな
夢は夢のままがいいとか
そんなこともあるでしょ
半分半分がほんとのバク
だって僕、マレーバク
白黒半分マレーバク
「日向ぼっこ」
詞 Aruzak-Nezon
日向ぼっこ
日向ぼっこ
12時52分くらいから
日向ぼっこ
日向ぼっこ
お腹のあたりがポカポカで
頭の中がクラクラだ
日向ぼっこ
日向ぼっこ
表のあとは裏返し
きっと優しくなれるよね
何もしないのも年季がいるぞ
日向ぼっこ
日向ぼっこ
心がヌクヌクしてきたら
空に向かってありがとう
日向ぼっこ
日向ぼっこ
めんどくさいけど水を飲む
これでも何かになるだろう
日向ぼっこ
日向ぼっこ
「あめきらきりん」
詞 Aruzak-Nezon
会いたい気持ちが
雨になって溢れてる
きのうはぴーかん
でももう我慢できない
待ち切れない朝
雨キラキラ
キリンさんごきげんかな
今日も笑ってくれるかな
みんなのためのとびきり笑顔
わかってるよ
でもキラキラ
気分はハッピー
このままこのまま
見つめているよ
空を映す瞳
見上げているよ