「くったりキリン」
えとぶん アルザック・ネゾン
キリンさんは
なんだか元気がありません
長い首をくったりと曲げて
ひざの上に両手をそろえて
ほーーと息をついています
しまうまちゃんは
小道に並んだ青い花を
いちりんつんできました
ありがとう
ほーー
キリンさんは
青い花を見ています
しまうまちゃんは
ゆうべの満月が大きかったことと
けさ、いつもと反対がわに虹が見えたことを話して
これからはだんだん日が長くなるってほんと？
と、キリンさんに聞きました
そうですね
ほーー
キリンさんは
長い首をゆっくりと
反対がわにたおします
しまうまちゃんは
きれいなリボンで
キリンさんにかんむりを作りました
ありがとう
ほーー
キリンさんは
角のあたりで
かざりをゆらしながら
しぱしぱと
まばたきをします
しまうまちゃんは
キリンさんのそばにすわって
本を見はじめました
静かな時間が流れます
キリンさんも
しまうまちゃんのそばで
首をくったりと曲げたまま
たまに、ほーーと
息をついていました
キリンさんおなか空いた？
そうですね
ほーー
しまうまちゃんは
パンをひときれ取り出すと
半分にちぎって
キリンさんにわたしました
ありがとう
キリンさんは
小さなパンきれを
しばらく見ていましたが
そっと口に入れて
ゆっくりとかみました
くったりしたキリンさん
キリンさんのたてがみを
しばらくながめていたら
いいことを思い出しました
しまうまちゃんは
パンをのみこむと
いつものキリンさんみたいな
おちついた声をまねして
言いました
むりに元気を出さなくて
いいですよ
ゆっくりするのも大切です
キリンさんは
角のあたりでかざりを
ゆらしながら
手に持った青い花を
小さく回します
空を見上げている
しまうまちゃんが
思い浮かびました
キリンさんは
すぅーーと息を
いっぱい吸い込んで
ほーーほーーほーー
ほーーほーーと
ほーーをいっぱい
出しました
