「おさんぽキリン」 えとぷん アルザック・ネゾン
しまうまちゃんは
空を向いて
まあるい口で
はーーと息をします
ピリッとした空気の中に
白い道ができて
すぐに消えてゆきます
きりんさんは
水辺を向いて
「お」の口で
ほーーと息をします
しまうまちゃんよりも
長く伸びて
やっぱりすぐに消えてゆきます
「白い、白い」
「白いね」
といいあいながら
「冬ですね」
「冬が来たね」
とくりかえして
ザクザクと歩きます
「あたたかいおへやもいいけれど
きせつの中につつまれているのも
気持ちいいですね」
キリンさんが大きく息をすって
長い息をはきました
しまうまちゃんは
「もっと歩きたい!」
とはねながら短い息をはきました
黒い雲が通るたび
みぞれが落ちてきます
でもすぐに晴れて
またくもったり
また晴れたり
そのたびに小走りになったり
立ち止まって空を見たり
ここには冬がたくさんちりばめられています
キリンさんは.少しずつがいい、といつも言います
「きせつが少し動いたころ
またいっしょに来ましょうね」